ある日のこと・・・
演奏会でトランペットさんはいつものように大きな喝采を浴びて、
とてもとても輝いていました。
トライアングルさんはそんなトランペットさんを羨ましく思って
トランペットさんのように大きくて綺麗な音が出たら注目してもらえるんだ。
と、どんな時でもトランペットさんのように音を響かせるようにしました。
どんな曲の時も「トランペットさん」になれるように頑張りました。
来る日も、、来る日も、とても頑張ったのです。
だけど、そうすればそうするほど、
「トライアングルさん、うるさいっ」「変っ」
と怒られるようになり、音楽に合わない音を出すトライアングルさんは
とうとうオーケストラの仲間達に「もうオーケストラに参加しないで。迷惑だよ」
とオーケストラを追い出されてしまったのです。
トライアングルさんは、悲しくて寂しくて泣いてしまいました。
「どうして、僕だって、トランペットさんみたいになりたいよ。
注目を浴びてみたいのに・・・」
トライアングルさんの涙がトライアングルさんにあたった時・・
「チィィィィン」と小さな音が響きました。
泣き続けるトライアングルさん、綺麗な響きは大きくなり、
オーケストラの仲間たちにも聞こえてきました。
「どこからこの音は聞こえてきているんだろう?」
みんなは演奏を中止して、その音がどこで響いているのかを
探し始めました。
すると・・そこには、涙を流して音を響かせているトライアングルさんが。
仲間たちは口々に「綺麗な音だね。」「こんな音もいいね」と
トライアングルさんを褒めてくれました。
そしてトランペットさんも、「とても静かな優しい音だね。きっと
たくさんのお客さんがトライアングルさんの音を聞いて、
夜空の星を思い出して、優しい気持ちになって帰るんだね」
と褒めてくれたのです。
「トライアングルさんはトライアングルさんだけの音を出せるんだ。
みんな、それぞれ違ってていいんだよ。君は君の音を
精一杯鳴らしてくれたらいいんだ。
そしたら君が出せない音は僕達が精一杯出すよ。
そうやってみんな支えあって音楽はできているんだよ
だからもう、他の誰かになろうとしないでね」
そうやってまた、トライアングルさんはとてもとてもやさしい音色を
たくさんの人に届けることができるようになったのでした。